土曜日の午後 2007/05/24 (Thu)

サンダル紛失事件（違うけど）より前のことです

当時床清掃のバイトをしており、月火１９時から０時までが新宿ルミネ、水曜日１６時からが京王線府中の住友銀行、土曜日の１４時から品川荏原中延の住友銀行、隔週で東武線高島平駅近くのショッピングモールのコンコース清掃を明け方までやっていた
高島平の仕事が始まるのは終電前頃なので時間が空くのだが、それまで途中の食堂あたりで時間を潰していたのだったか・・・

ある秋頃の土曜日、昼頃起きて荏原に出かけたんだと思う
その夜は高島平に行くのだが、荏原からチームで清掃用具を積んだワンボックスに乗り、出かけるのが習慣だった

１４時前に銀行の裏口に立っていた
誰も来ない・・・
まさか、今日は中止だとか･･･
携帯の無い時代だし、実はBOSSを待つ事情があった
新宿までは通学定期があるのだが、そこからの行きの電車賃しかもっていなかった
あとは借りればいいや、あるいは給料日ではなっかたのか？
銀行のインターホンで担当の方を呼び聞いて見るとどうも、銀行側に用事があって床清掃は中止らしい
銀行で電話をお借りしてBOSSにTELしてみる
「あれ？言ってなかった？」
高島平も中止だと・・・

今なら荏原から新宿まで歩いて帰ろう、という気になるだろうが、怠け者学生はそんな気分にはなれないし、そんな発想すら湧かなかった
荏原を少し歩いてみる
交番があった
年配の警察官がいた
「あのー実はそこの銀行にバイトに来たんですが･･･」
訳を話すと、その少し赤ら顔の年配の警察官は
「あ～いいよ～持ってけ～」と、ポケットから１００円玉や十円玉をバラバラっと机の上に出した
「あ、すみません、住所と名前書きます・・・」
「そんなのいいから、持ってけ～」
ボクは言われるままに、きっちり電車賃、２１０円ぐらいを取り
「ありがとうございます・・・来週また、バイトに来ますからその時に・・・」
そう言い掛けると
「いいからいいから持ってけ～」
そう繰り返し、残った小銭をポケットにしまった
会釈して交番を出て地下鉄の駅に歩き出す・・・

実は話はコレで終わるのだ
何故なら翌週にボクは、この荏原に来ることは無かったのだから
二年以上いたこのバイトを翌週の火曜日に辞め、その清掃会社から独立した人の現場に急に行くことになったのだから
つまり
この荏原の交番のおまわりさんに、こんなに無頓着に良くして貰っているのに借金を返しに行かなかった
TVのドキュメントで、交番VS酔っ払い、なんて番組を観ると、あのおまわりさんの赤ら顔と机に出された小銭とある意味裏切りのバイト転職、あの日の荏原中延の妙に暑かった土曜日の午後が思い出されるのだ

昭和五十年ごろのことです
不義理なオレです・・・
おまわりさん
スミマセン・・・